「楽しく働ける飲食業に」。東京都多摩エリアや神奈川県内でラーメン店を展開するオーファスグループ(小川厚志会長)はこのほど、飲食店向けの設備機器を扱う販売代理店「ミライ機器販売」(町田市相原町)を設立した。グループ店舗で導入し効果を上げた強みを自信に、ごみ処理、床や排水溝の清掃といった従業員の負担となる作業を効率化する機器を提案する。労働環境のマイナスイメージ払拭などにつなげたい考えだ。【2023年7月3日号掲載】
本格稼働は今月1日から。目前の目標を「まずは1台」と控えめな姿勢を見せつつも、小川会長(新会社社長)は、「ただ数字を追うだけでなく、1人でも多くの飲食業関係者の未来を明るくしたい」と意気込む。
人手不足に苦慮する同グループは2年ほど前に新卒採用を計画。学生の飲食業に対するイメージでは「生ごみの廃棄や厨房の清掃が大変そう」という意見が多かった。飲食業の「重労働」というマイナスイメージを変えようと導入したのが、新会社が扱う製品を含む省力化機器。「楽に楽しい働き方」をアピールすることで、初の今年度は9人が入社した。
2022年、埼玉県東松山市に出店した「ミライ堂」(現在閉店)は、省力化を積極的に進めた「未来の飲食店」を形にした実証店舗。アルバイト採用では従来店舗の3倍、50人弱から応募があった。8割が女性となり、男女比が逆転するなど一定の成果を得られた。
扱う機器は①もみ殻に付着した微生物の力で食品残さを分解処理できる「ゴミサーR」(参考価格150万円、設置費用込み)②オゾンを排水に注入することで油脂や臭いなどを酸化分解する「オゾナイザーR」(同70万円)③厨房の床全面を自動で泡洗浄する「アワシャーR」(価格は厨房規模により異なる)―の3機種。
エイ・アイ・シー(八王子市万町)が製造する①②は医療・介護など施設やホテル、食品工場、アワフル(東京都大田区)が製造する③はスーパーマーケットなどで実績があるが、飲食店では採用事例が少ない。製品名の「R」はレストランの頭文字で、処理能力や仕様を飲食店の使用環境・条件に合わせてカスタマイズしたモデルとなる。
4月24日に開店した新ブランド「炎者」(厚木市小野)をはじめ、「らーめん専門店小川」や「しょうゆのおがわや」などの12店舗でも導入している。導入した店舗からは「作業が減ったことで、調理や接客に注力できるようになった」の声が挙がっている。
特に、飲食店の排水溝に設置が義務付けられている「グリーストラップ(油水分離層)」という油脂や食品のくずなどを下水に直接流さない設備の清掃には効果的。中に溜まるごみや油を定期的に取り除かなければならないが、従業員から「髪や服に臭いがつかなくなり、精神的な負担が減った」などと好評だ。
一部機器の導入には自治体の補助金などを活用できる。グループ店舗が申請・採択されたノウハウを生かし、導入店舗の申請をサポートする。また、設備を導入している店舗の見学も可能。問い合わせは、同社042・770・4346へ。