多摩都市モノレール(多摩センター―上北台)の町田方面への延伸について検討が具体化することを踏まえ、町田市は15日、JR横浜線・小田急小田原線の町田駅周辺の開発推進計画案を公表した。市中心市街地まちづくり計画(2016年策定)における計画の対象範囲を踏まえた上で「中心市街地全体への人の流れ」「賑わい」「交流」をより一層生み出すような、一体的で繋がりを持ったまちづくりを実現するために、駅周辺における再開発を推進する。【2024年4月20日号掲載】
□3路線軸に4地区
開発コンセプトは「いつだってまちだ ~新たな賑わいと交流の創出~」。3つの鉄軌道を受け止め「便利で快適・居心地のよい」駅前空間を創出するとともに、これまで培ってきた商業の賑わいに「だれかと一緒に楽しむ・体験する」を加えることで、賑わいと交流が生まれ続けるまちづくりを目指していく。
案では、再開発に向けて検討が進められる周辺地域を▽JR駅北側、小田急駅南東側でA地区▽小田急駅北西側のB地区▽小田急駅南西側のC地区▽境川と横浜線の間にある森野住宅などのD地区―の4つの開発推進地区とする。さらに、A地区には「歩行空間などに配慮した街並み」、B・C地区の周辺に「同地区と連携を図りながら魅力的な空間を誘導するエリア」、JR駅南口を「南の玄関口」に設定した。
町田のシンボルエリアとなるA地区には、モノレールの新駅が設置される予定。周辺の商業エリアと連続した賑わい空間を形成。バスの待合所を集約し、3つの駅の動線を結ぶ「新交通ターミナル」を整備する。
大規模な駐車場なども多いB地区には、新たな駅前の顔づくりとして、ここでしか体験できない集客機能の導入を図る。目的地となるような魅力的なコンテンツを提供するエンタメ施設(シネマコンプレックスなど)を誘導。駅前の顔にふさわしい空間と動線を形成する。
C地区は文化や学びの発信地として、演劇やミュージカルに対応するライブホール、アートギャラリーを導入するイメージで、人々が集う場としての交流の拠点づくりを進める。D地区は森野住宅を建て替え、都市型居住環境の整備を関係団体と調整している。緑豊かな環境と境川の親水性を活かした憩いの空間づくり、災害時における避難機能も検討する。
□駅周辺への訪問少数
駅周辺には、駅前施設の視認性の低さ、オープンスペースの不足、公共交通や一般乗降スペースの不足などを課題として挙げている。
中でも、商業の賑わいを強みとしてきた町田にとって、「鉄道利用者がまちなか(町田駅周辺)へ訪れる割合が少ない」との課題は深刻だ。町田駅と立川駅の乗降客数は双方ともに10万人程度で、首都圏南西部で最多規模であるが、比較すると町田駅の方が13・4%(立川駅22・8%)と「各駅降車後の徒歩移動数」の割合が低い。立川駅は同モノレール沿線かつ、JR中央線・同南武線などが乗り入れる点で条件が似ている。
加えて、小田急線東口(JR横浜線北口)を中心に老朽化した商業施設が見られ、直近で更新された主要な施設も2000年代前半の完成したものであり、都市機能の更新が求められている。小田急線西口については、低未利用(駐車場利用など)の状況が長年続く。駅周辺のペデストリアンデッキについても、交通需要やバリアフリー化に対応しきれていない状況だという。
□今後の進め方
まちの将来像の実現に向けて、地権者、事業者、市民、行政等が本計画をまちづくりの指針として共有した上で、各主体の協働・連携によるまちづくりを進めていく。開発推進地区の代表者や地域のまちづくり関係者、交通事業者などが情報交換・情報共有できる場として、(仮称)開発推進連絡協議会の立ち上げも検討している。