相模原市中央区にある精密板金試作業、ユウキ工業の北澤芳恵さんは、社長業と子育てを両立させるため、日々奮闘している。製造業では珍しい女性経営者として経営の最前線に立つ一方、小学6年生の長男と保育園に通う長女の母親でもある。北澤さんが父・結城昌臣さん(69)から経営を受け継いで9年。産業空洞化などで、町工場にとって厳しい経営環境が続く中でも、同社は「超短納期」を売りに差別化。黒字決算を維持する元気な会社として存在感を高めている。(千葉 龍太)
北澤さんの朝は早い。
午前4時に起床。子どもたちの朝食を作り、夕食の下準備をすることから始まる。午前8時半には会社に到着する。
都内企業でのOLを経て、父・結城さんが経営するユウキ工業に入社した。経理が長かったが、製造現場にも入った。
現場は未知の領域だったが、いざやってみると「図面通りにモノができることが楽しい。製造業の魅力でもある」という思いに変わった。
創業者である父(現会長)は、かねてから「60歳の誕生日を迎えたら事業を継承したい」と考えており、長女の北澤さんにバトンタッチした。(2013年8月20日号掲載)