老舗エステベルボーテ、女性の美と健康に貢献して30年/国際ソロプチミストで奉仕活動も


馬場由紀子さん

馬場由紀子さん


 相模原に生まれ育ち、30代のとき故郷相模原で起業した馬場由紀子さん。30年間にわたりリンパマッサージ専門店「ベルボーテ」(中央区相模原)を経営している。その技術と明るい人柄にひかれて15年、20年にわたり足を運ぶ女性が少なくない。元気いっぱいに仕事にいそしむ傍ら、女性による奉仕団体「国際ソロプチミスト相模」の活動に熱心に取り組んでいる馬場さんは、仕事と社会奉仕の両面で充実した日々を送っている。(編集委員・戸塚忠良/2015年3月1日号掲載)

■エステ開業

 馬場さんとエステの出会いは33歳のとき。東京・青山で美容室を経営していた中学時代の同級生に誘われたのがきっかけだった。エステの学校に行き資格を取得し、興味を感じた各種の講座や勉強会でマッサージの研修を重ねるうち、エステ手技の難しさと奥深さを知るようになった。「無我夢中で勉強しました」と回想する。

 翌年の1982年に東橋本で開業し、店のオーナーのもとで働き始めた。まだエステに対する一般の関心や理解が浅く、お客さまはほとんどがいわゆる有閑マダムだった。それでも、女性の美と健康のためにという思いを支えにしながら、より高度の技術を自分のものにするための勉強を怠ることはなかった。

 そして86年に「自分の店を経営しよう」と決意して現在地のビル1階で独立、開業、当時はまだ極めて少なかった市内女性起業家の先駆者の一人となった。88年1月に2階に移り現在に至っている。

 「開業するときは父親の援助を受けましたが、『決して他人に迷惑をかけるな』ときつく戒められもしました。この言葉通りに、お客さまや一緒に働く人たち、応援してくれる友達の信頼に応えるには、まず自分の技術をもっともっと磨くことが一番大切だと考え、必死で勉強しました」と馬場さん。朝から講習を受け、午後はエステのモデルを務め、夜は仕事というハードな日もあるほど忙しい生活の中で、施術の質を高め、幅を広げていった。

■感謝と奉仕

 しかし、毎日が慌ただしく過ぎ、経営者と2児の母親の役割を両立させる中で次第に精神的に追い込まれ、生き方の悩みを感じるようになった。そんなとき、人間関係に悩みを抱える人を対象にした5泊6日の意識教育の合宿講習があることを知って参加した。

 「この合宿で教えられたいちばん大切なものは『感謝の心』でした。両親や家族、お客さま、従業員への感謝はもちろんですが、ここで仕事を続けられることに感謝し、その感謝の気持ちを身の回りの人たちだけでなく、社会に還元しなければならないという思いが溢れて来て、自分の生き方というものに改めて眼を開かれる思いがしました」と力を込めて語る。

 ちょうどその頃、地域と世界の女性と女児の生活向上のために奉仕活動をしている「国際ソロプチミスト相模」から入会を誘われた。女性としての生き方を見つめなおした馬場さんにとって、その活動は自分が生きる相模原と世界という遥かな地平とをつなぐ一歩となった。

 入会以来チャリティー事業を開催してその収益をボランティア団体などに寄付する活動を仲間とともに積極的に続けている。会は今年創立30周年。馬場さんは今期の会長を務めている。「より多くの方に国際ソロプチミスト相模を知っていただくためにも、5月23日の30周年記念式典を成功させたい」、これが会長としての願いだ。

■試練超えて

 時代の流れとともに、エステに対する需要は多様化し、なかでも介護施設の職員、看護師、学校の教員など働く女性の疲労回復と健康維持のためのマッサージへの需要が高まっている。早い時期から「疲労回復にはオールハンドでリンパを流すリンパマッサージが何より効果的。一人一人のお客様を大切にしたい」との信条を持ち続け、先進的な技法も積極的に取り入れている馬場さんの手技に信頼を寄せ、長く足を運ぶアァンは多く、その紹介で来店する人も少なくない。

 60歳を過ぎたとき、「もう十分やって来た。引退しようか」との思いが頭をかすめることもあったが、持ち前のチャレンジ精神と「先生と一緒に仕事を続けたい」というスタッフの熱意が弱気に打ち克った。「自分自身がこのままではいけないと感じている今だからこそ、スタッフを増強してこの店に元気を吹き込もう」と思い直し、新しいスタッフを迎え入れて店をステップアップさせた。

■充実の日々

 現在のスタッフは6人。リンパマッサージを主軸に美容矯正、フェイシャル、痩身などの多彩な施術を提供し、全身リンパマッサージ1回90分1万2千円などの価格を設定している。「私の今の仕事はスタッフの育成。私の持っている技術全部と人への感謝の気持ちを受け継いでほしい」と弟子たちへの思いを言葉にする馬場さん。「どの子も熱心で、常連のお客様がついています。若い子に囲まれて楽しい毎日」と、張りのある頬をほころばせながら明るく語る。

 その一方、エステの持つ社会的な役割にも視野を広げ、「今は予防の時代。リンパマッサージを予防医学の中に組み入れてほしい」と話す口調には、時代の要求に応えながら30年にわたり女性の美と健康のための仕事一筋に歩んできた人の誇りとエステに託す思いがにじむ。

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