【地域文化】町田・相模原に潜む“生きた怪異”──地元発の実話怪談集刊行 地元作家・神沼三平太氏が描く『町田相模原怪談』、竹書房より発売


 首都圏有数のベッドタウンとして発展を続ける町田市と相模原市。その日常のすぐ隣に潜む“異界”を描いた怪談集『町田相模原怪談』(著・神沼三平太、竹書房刊)が、10月29日に発売された。両市あわせて約100万人が暮らす街に伝わる怪異を、地元在住の怪談作家が丹念に取材し、実話としてまとめた一冊だ。【2025年10月29日起稿】

 同書には、「町田駅前ビルに現れる赤い服の女」「相模大野の公園で若者を絶望させた“見ると死ぬ女”」「宮ヶ瀬に棲む〈川天狗〉」「津久井の病院に響く赤子の声」など、町田・相模原・津久井・相模湖エリアを舞台にした14の恐怖譚を収録。

 地域に実在する地名や風景を背景に、地元住民なら思わず“あの場所だ”と感じるようなリアリティを備えている。

 著者の神沼三平太氏は、茅ヶ崎市出身で相模原市在住。町田市内の大学などで非常勤講師を務める傍ら、全国各地の怪異を蒐集してきた。『湘南怪談』『甲州怪談』など、ご当地怪談シリーズの執筆でも知られる。

 「町田や相模原のような“生活の街”にも、土地の記憶や人の念が息づいている。それが怪談という形で語り継がれているのだと思う」と語る。

 発売を記念し、久美堂や紀伊國屋書店など地元書店では、特典ペーパー付きの限定版を配布。店舗ごとに異なる書き下ろし短編が添えられる(在庫終了次第配布終了)。

 竹書房では「都市の陰に潜む“見えないもの”を地元視点で描いた稀有な作品。地域の読者にこそ手に取ってもらいたい」としている。

 身近な街が一転して“怪異の舞台”に変わる――秋の夜長に読みたい一冊だ。

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