
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、10月26日に種子島宇宙センターから打ち上げられ、30日に国際宇宙ステーション(ISS)に到着した新型宇宙ステーション補給機「HTV-X1」で生鮮食品を宇宙飛行士に届けた。今回の搭載では、より地上に近い感覚で旬の味覚を楽しめるよう、国産の果物が選ばれた。
搭載された生鮮食品は、青森県産のりんご「ふじ」、福島県産トマト「ドキア」、千葉県産梨「王秋」、新潟県産梨「新興」、そして福岡県産の温州みかん「日南1号」。いずれも公益財団法人流通経済研究所(DEI)がJAXAの請負契約に基づき調達し、除菌・梱包・輸送の工程を経て種子島宇宙センターに納入された。
JAXAによると、HTV-Xシリーズでは従来の「こうのとり」(HTV)に比べて打ち上げ直前に物資を搭載できる「レイトアクセス」時間が短縮されており、より新鮮な状態での輸送が可能になったという。生鮮食品は10月15日に納入後、19日未明に搭載され、26日の打ち上げで宇宙へと旅立った。
ISSでは、長期滞在中の宇宙飛行士が生鮮食品を口にすることで、心理的なストレスの軽減や作業効率の向上が期待されている。JAXAは「“食”という身近なテーマを通じ、宇宙開発への関心を高めたい」としている。
また今回の取り組みでは、民間団体が自らの責任で食品の調達先を選定・管理する新しい仕組みが導入された。将来的な地球低軌道ビジネスへの応用も視野に入れた試みだという。
流通経済研究所は「宇宙でも“日本の旬”を届けられることを誇りに思う」とコメントしている。









